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有休の制度趣旨

  

 

 年次有給休暇(以下、有休)は、使用者から見た場合、「労働者が休んだ場合にも給料を払う日」のことです。いきなり「そんなの知っているよ」という声が飛んできそうですが、この今では当たり前の有休という概念も、先人達の努力があって広まってきたこと。1936年に国際労働機関第52号条約が定められて以降、徐々に世界各国に広まりを見せ、日本では労基法39条一項で次のように定められました。 

「使用者は、その雇入れの日から起算して6カ月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。」

 この条文だけですと「有給は事業主から労働者に与えてあげるもの」というトップダウンな印象を受けますが、労働者が有給をとる権利(以下、年休権)はこの条文に示された二つの要件(①6か月間の継続勤務、②8割以上の出勤率)を満たせば、その時点でもう既に自然に発生しているのです。つまり、ボトムアップな力もあるわけです。

  当事務所が関与している事業主の皆様は、従業員を大切になさっている方ばかりです。それでも、時々まったくの悪意なく「うちの会社は日給制だから年次有給休暇はあげなくていいですよね」という質問をされたり、それとは逆に(恐らく従業員に気を使いすぎて)「有休扱いにはしないであげてください」というわかりにくいお願いをされたりします。その都度お伝えしていることですが、ここでもあらためて、声を大にしてお伝えしておきましょう。

      年休権は、日給制でも、日給月給制でも、月給制でも発生します。

 

     有休扱いにすることで労働者に不利益は生じません。

  年次有給休暇の制度の趣旨は、平成21529日の基発第0529001号によれば、「労働者の心身の疲労を回復させ、労働力の維持培養を図るとともに、ゆとりある生活の実現にも資する」ことです。①6か月間の継続勤務、②8割以上の出勤率の要件を満たす全ての労働者に権利があり、使用者は労働者の請求に応じて有休を取得させなければなりません。

 「難しい言葉を並べちゃって、何言ってるのかよくわかんないや」と思っていらっしゃるでしょう。おそらくそうだと思います。すみません。第一回目なので、少し上段に構えてしまいました。次回から、要件の詳細に入っていくことにします。127日(日)の更新をどうぞお楽しみに。

(文責: 社会保険労務士 近藤いずみ)